第4章 禁じられた森【賢者の石】
その時、ハリーがやや大きな声で囁いた。
「見つけたぞ!」
「え?」
「フラメルを見つけた!」
ハリーが握っていたのは、蛙チョコレートのカードだった。
そのカードはダンブルドアが映っていて、裏にはニコラス・フラメルの文字が書いてある。
「どっかで名前を見たことがあるって言ったよね。ホグワーツに来る汽車の中で見たんだ……聞いて……『ダンブルドア教授は特に、1945年、闇の魔法使い、グリンデルバルドを破ったこと、ドラゴンの血液の12種類の利用法、パートナーであるニコラス・フラメルとの錬金術の共同研究などで有名』」
私たちは目を見開かせていた。
まさかの蛙チョコレートのおまけであるカードに、ニコラス・フラメルの名前が書いてあったとは思わなかったのだから。
するとハーマイオニーが跳び上がった。
どこか興奮しているハーマイオニーは、『ちょっと待ってて!』と言うなり女子寮の階段を駆け上がって行く。
どうしたのだろうと思っていれば、彼女は巨大な古い本を抱えて戻ってきた。
「この本で探してみようなんて考えつきもしなかったわ。ちょっと軽い読書をしようと思って、ずいぶん前に図書館から借り出していたの」
「軽い」
かなり分厚くて巨大な本なのに……と言わんばかりのロンとハリー。
ハーマイオニーはそんな彼らを無視して『見つけるまで黙って』と本のページをめくりだす。
暫くするとハーマイオニーが叫んだ。
「これだわ!これよ!」
「もうしゃべってもいいのかな?」
「どれ、ハーマイオニー」
不機嫌そうなロンは無視して、私はハーマイオニーが見ているページを覗き込んだ。
「ニコラス・フラメルは、我々の知るかぎり、賢者の石の創造に成功した唯一の者!」
「賢者の石……って、何かしら。名前は聞いた事あるけれど……」
「何、それ?」
「まったく、もう。三人とも本を読まないの?ほら、ここ……読んでみて」
言われた私たちは、ハーマイオニーが読んでと言われたページを口に出しながら読み始めた。
ハリーとロンは眉間に皺を寄せていたから、とりあえず私が口に出して読むことにしたのだ。
錬金術とは、『賢者の石』と言われる恐るべき力を持つ伝説の物質を創造することにかかわる古代の学問であった。
この『賢者の石』は、いかなる金属をも黄金に変える力があり、また飲めば不老不死になる『命の水』の源である。