第3章 不思議なみぞの鏡【賢者の石】
「この鏡、不思議ね。なんでハリーは自分のご両親が見えてるのに私とロンには見えなかったのかしら。それに、私の両親は私には見えるのにロンとハリーには見えていないなんて·····」
「どういうことなんだろう·····」
私とハリーは眉を寄せた。
この鏡は普通の鏡じゃないのは確かだけど、自分が見ているのは他人には見えていない。
そう思いながら鏡を見あげてみる。
枠の方に何か文字が掘られている。
なんだろうと思いながら、目を細めながらその文字を口に出して読んでいく。
「すつうを みぞの のろここ のたなあ くはなで おか のたなあ はしたわ·····?どういう意味?」
「分からない。謎の暗号だよね」
二人揃って首を傾げている時だった。
ロンが興奮した様子で私たちの方を見てきて『僕を見て!』と叫ぶ。
「どうしたの?」
「家族みんなが君を囲んでいるのが見えるかい?」
「うぅん·····僕一人だ·····でも僕じゃないみたい·····もっと年上に見える·····僕、首席だ!」
「なんだって?」
「なんですって?」
怪訝そうに眉を寄せたハリーは、どういうことなんだろと言わんばかりの表情。
私も眉を寄せながら鏡の中のロンを見るけれど、彼の言う姿は映っていない。
「僕·····ビルがつけていたようなバッジをつけてる·····そして最優秀寮杯とクィディッチ優勝カップを持っている·····僕、クィディッチのキャプテンもやってるんだ」
惚れ惚れしているように呟くロンは、鏡から目を離すと興奮したように私たちを見てくる。
「この鏡は未来を見せてくれるのかなぁ?」
「それは無いと思うわ·····」
「アリアネの言う通りだよ。そんなはずはない。僕の家族もアリアネの家族もみんな死んじゃったんだよ·····もう一度僕に見せて·····」
「君は昨日一人占め出見たじゃないか。もう少し僕に見せてよ」
「君はクィディッチの優勝カップを持ってるだけじゃないか。何がおもしろいんだよ。僕は両親に会いたいんだ」
「押すなよ·····」
二人は押し合いを始め、私は深くため息を吐いて二人の首根っこを掴む。
「辞めなさいよ、みっともない·····!」
そう叱った時である。
突然廊下から音がして、私たちは口を閉ざした。
「はやく!」
ハリーが慌てて私たちにマントをかぶせた。