第3章 不思議なみぞの鏡【賢者の石】
彼は少しだけ興奮したように話してくれた。
透明マントを使って、折角だから図書館に行って閲覧禁止の本を見たら本が叫んだこと。
それでフィルチとセブが飛んできて、逃げていたらとある部屋に入ったこと。
そして、不思議な大きな鏡を見つけたことを。
「その鏡を見た時、僕の父さんと母さんが映っていたんだよ」
「ハリーのお父さんとお母さんが·····!?」
「そうなんだよ。また、行こうと思うんだ。その時、アリアネも行こう」
「そうね、行きたいわ。貴方のご両親を見てみたいもの」
「僕も見せてあげたい。君に、僕の両親を」
❈*❈翌朝❈*❈
「起こしてくれればよかったのに」
翌朝、鏡の話を聞いたロンは不機嫌そうに呟いた。
「今晩一緒に来ればいいよ。僕、また行くから。君とアリアネに鏡を見せたいんだ」
「君のママとパパに会いたいよ」
「僕は君の家族に会いたい。ウィーズリー家の人たちに会いたいよ。ほかの兄さんとか、みんなに会わせてくれるよね」
「いつだって会えるよ。今度の夏休みに家に来ればいい。もしかしたら、その鏡は亡くなった人だけを見せるのかもしれないな。あ、アリアネのママとパパも見せてもらえるんじゃない?」
ロンの言葉に、私は数度瞬きをした。
私の両親を見れるかもしれない·····その考えに、私は胸を高鳴らせる。
彼の言うとおり、死者を見せてくれる鏡なら私の両親だって見れるかもしれない。
私がそう考えていれば、ハリーが何度か頷いていた。
そして『それなら、絶対君も行くべきだ』と言い、私も頷いた。
「しかし、フラメルを見つけられなかったのは残念だったなぁ。ベーコンか何か食べたら。何も食べてないじゃないか。どうしたの?」
「そうよ、ハリー。貴方、さっきから何も食べてないじゃない。空腹はあまり身体に良くないわよ」
「うん·····」
だけどハリーは食べようとしない。
まるで、心ここに在らずという感じであり、もしかして鏡の事を考えているのかしらと首を傾げた。
「ハリー、はい」
「んぐっ!?」
「少しは食べなさい。たださえ貴方、細いんだから」
私はハリーの口にベーコンを押し込んだ。
彼は目を丸くさせながらも、ベーコンをもごもごと食べてから飲み込む。
「ほら、食べて。じゃない次はパンを口に入れるわよ」
「わ、わかった!食べるからパンを置いて!」