第3章 不思議なみぞの鏡【賢者の石】
クリスマスは楽しい夜だった。
フレッドとジョージは遊び疲れ、ロンとハリーはご馳走をたらふく食べたから眠くなったみたいで眠っている。
だけど、私はネックレスの事を思い出すと中々寝付けることが出来ずに談話室で過ごしていた。
「父さんが、私のために作ったネックレス·····」
全ての魔法から身を守ってくれる。
防御魔法か何かかけられているのだろうか·····そう思いながら雫型の飾りを炎で照らす。
真っ白な雪のような雫型の飾りは、炎の色で赤く染まっていく。
まるで私の目の色みたいと思っている時だった。
「アリアネ」
「·····ハリー?」
ハリーの声がした。
でも、周りを見るけれどハリーの姿は見えない。
「ハリー?何処にいるの·····?」
「ここだよ」
すると、目の前にハリーだけの顔が見えた。
最初は驚いたけれど、直ぐに彼はお父さんの形見の透明マントを持っていたことに気が付く。
「透明マントで、悪戯するつもりだったの?」
小さく笑うと、彼はマントを脱いでから肩を竦める。
「ちょっと、透明マントを使ってみたくて。手紙にも、上手に使いなさいってあったから。だから、ちょっと寮を抜け出そうと思ってね」
「ロンは起こさなかったの?」
「一人で、使ってみたくて」
「そうね、折角なら一人で使ってみるのがいいわ。じゃあ、私は貴方が帰ってくるのをここで待ってるわ。先生にバレないようにね」
「うん、行ってくるよアリアネ」
彼を見送った私は、ソファに背を預けながら炎を見つめる。
そしてまたネックレスを弄りながら、これを送ってきた人は誰なのだろうと考えた。
私の父を知る人、そして私の父の遺品を持っていた人。
母さんの遺品は名付け親が持っていたけれど、誰が私にこのネックレスを送ってきたんだろう。
「·····セブ、かしら」
でも、彼の筆跡ではなかった。
それにあんな手紙の書き方はしない気がするし、今、私とセブの関係はあまり良くない。
「じゃあ、誰がこれを·····」
謎の人からの贈り物。
不思議だなと思っていれば、カタン·····と音が鳴る。
そして談話室の入口を見れば、ハリーがそこにはいた。
「ハリー、おかえりなさい」
「アリアネ、僕、凄いの見つけたよ」
「·····え?凄いの?」
「そう!凄い鏡を見つけたんだ」