第3章 不思議なみぞの鏡【賢者の石】
「驚いた?」
してやったりと言わんばかりのハリーとロンの表情に、私は眉間に皺を寄せながら立ち上がる。
「驚くに決まっているでしょう!?それより、どういうことなの?さっきまで貴方たち、そこにいなかったのに·····」
「透明マントだよ!」
「·····透明マント?」
ハリーが銀色の布を私に見せてくれる。
まるで水を織物にしたかのような手触りのマントは凄く不思議な物。
「この透明マント、僕にクリスマスプレゼントとして送られてきたんだ。だけど誰から送られてきたのは分からなくてさ。でも父さんのものだったらしいんだ」
「そうなのね。あ、それなら私も誰から送られてきたのか分からないプレゼントがあったの。私も、父さんの遺品だからって·····」
そう言いながら、私はネックレスを付けたまま見せる。
「綺麗なネックレスだね」
「ええ。なんでも、どの魔法からも私を守ってくれるネックレスらしいの。父さんが私のために作ったものだって」
「そうなんだ·····。でも、誰からなんだろう」
私とハリーは二人揃って首を傾げた。
誰からのプレゼントが分からないけれど、二人揃って父親の形見である。
大切に持っておこうと決めながらも、ハリーは透明マントは三人だけの秘密にしようと言った。
謎の人からのプレゼントだけど、嬉しい。
そう思いながら私たちはクリスマスの朝を過ごした。
そして、クリスマスのご馳走はとても凄かった。
「凄いご馳走ね·····」
「美味しそうだよ!」
「わああ!」
丸々太った七面鳥のロースは百羽、山盛りのローストポテトと茹でたポテト。
大皿に盛られた太いチポラータ・ソーセージ、深皿いっぱいのバター煮の豆、銀の器に入ったコッテリとしている肉汁とクランベリーソース。
テーブルには、魔法のクラッカーまで置いてあった。
すると、フレッドとハリーがクラッカーを鳴らす。
大砲のような音が鳴り、青い煙が立ち込めると煙の中からは海軍少将の帽子を付けたハツカネズミが数匹飛び出してくる。
「ネズミだ!」
「帽子をかぶってる!可愛いわ」
「スキャバーズもこれぐらい可愛かったらなあ·····」
クリスマスは本当に楽しかった。
ウィーズリー兄弟と雪合戦したり、夕食はまた朝と違ったご馳走。
御馳走を楽しんだ私は、談話室でハリーとロンがチェスをしているのを眺めていた。