第3章 不思議なみぞの鏡【賢者の石】
「あら、私たち犬のことなんて一言も言ってないわよ?」
「ええ。私たち、ニコラス・フラメルが誰なのか知りたいだけなのよ」
ニヤリと私が笑えば、ハーマイオニーも笑う。
私たちは別に『三頭犬』についての話なんて一言も言ってないのだから。
ただ、ニコラス・フラメルという人が誰なのかという話をしていただけ。
「ハグリッドが教えてくれる?そしたらこんな苦労はしないんだけど。僕たち、もう何百冊も本を調べたけど、どこにも出ていなかった。何かヒントをくれないかなあ。僕、どっかでこの名前を見た覚えがあるんだ」
ハリーがそう聞くと、ハグリッドはきっぱりと言い放った。
「俺はなにも言わんぞ」
「あら、残念」
「それなら、自分たちで見つけなくちゃ」
ムッツリとしているハグリッドを置いて、私たちは図書館へと向かった。
私たちは本気でニコラス・フラメルについて調べていたのだ。
セブが、三頭犬がいるあそこに怪我してでも行った理由が知りたい。
何を盗もうとしているのか知りたくて、色んな本を調べているけれどニコラス・フラメルについて載っていないのだ。
「これにも載ってないわね·····」
私は『二十世紀の偉大な魔法使い』という本を机に置いてから深く息を吐いた。
ハーマイオニー達も『現代の著名な魔法使い』や『近大魔法界の主要な発見』等々·····色んな本を読んでみるけれど『ニコラス・フラメル』といつ名前は見つからない。
それに、困ったことがある。
このホグワーツの図書館は広すぎるし、本の数もかなり多い。
ハーマイオニーと共に調べる予定の内容と表題のリストを作り、それを持って本を探していった。
「ハリー?そこは、閲覧禁止の所よ」
ふと、ハリーの方を見れば彼は閲覧禁止の書棚の目の前に立っていた。
「そうなんだけど·····。もしかしたら、フラメルの名前が載ってたりしてる本があるんじゃないかなって」
「確かに·····。でもここは、先生のサイン入りの特別許可が必要だものね。多分、サインなんて貰えないでしょうしね」
あとは、ここにある『強力な闇の魔法』の本を、上級生が『闇の魔術に対する上級防衛法』の勉強で見たりすることを許されている。
だけど私もハリーもまだ下級生だ。
「読むことはできないわね、私たちには·····」
「そうだね·····」