第3章 不思議なみぞの鏡【賢者の石】
私の恋は消えた。
初恋はあっという間に終わってしまったのだった。
(セブのこと、あんなに好きだったのが嘘みたい·····)
初恋は叶わない。
そんな話を何処かで聞いたけれど、確かにそうなのかもしれないと納得してしまう。
恋なんてもう、したくない·····私はそう思っていた。
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もうすぐでクリスマス。
十二月半ばのある日のこと、目を覚ました私が窓の外の光景を見て目を見開かせた。
ホグワーツが深い深い雪に覆われていたから。
「すごい雪だわ」
「本当ね、おはよう。アリアネ」
「おはよう、ハーマイオニー」
大雪に覆われていれば、勿論、皆はしゃいでしまうもの。
中庭では既にフレッドとジョージが雪合戦していて、上級生や同級生もそれに混じって雪合戦をしている。
勿論、私とハリーとロンにハーマイオニーも参加した。
そして双子は、雪合戦をした後に雪玉に魔法をかけてクィレル先生にまとわせた。
ターバンの後ろでポンポン跳ね返すようにして、その後バレて罰則を受けたらしい。
「もうすぐてクリスマス休暇ね」
「そうね」
皆は、クリスマス休暇を待ち遠しにしていた。
そんなある日の魔法薬の授業のことである。
「かわいそうに。家に帰ってくるなと言われて、クリスマスなのにホグワーツに居残る子がいるんだね」
マルフォイはハリーの様子をうかがいながら、くすくすと笑って話していた。
だけど、ハリーは完全に無視してカサゴの脊椎の粉末を測っている。
「マルフォイって、馬鹿なのかしら」
「きっと馬鹿よ」
ハーマイオニーと私はマルフォイに呆れながら、そう呟いてカサゴの脊椎の粉末を測る。
マルフォイはこの間のクィディッチの試合があってから、ハリーに嫉妬していて余計に馬鹿で嫌味な奴になっていた。
『次の試合には大きな口の『木登り蛙』がシーカーになるぞ』
なんてハリーを笑いものにしようとしていた。
だけど誰も笑わずにいて、笑っていたのはマルフォイと付き人のような二人だけ。
だって皆、クィディッチの試合でのハリーに感心したいたから、笑わない。
だからなのだろう。
悔しくてたまらないようで、ハリーに家族がいないことを嘲笑っていたのである。
「どこかのお坊ちゃまは、お父様とお母様と過ごさないと寂しくて泣きそうね。どこかのマルフォイというお坊ちゃまは」