第3章 不思議なみぞの鏡【賢者の石】
ハーマイオニーの声。
優しくて凄く心配している声に、私はなんだか申し訳なくなって枕から顔を離す。
「どうしたのよ、そんなに泣いて·····」
「あのね、ハーマイオニー·····」
「うん」
「さっき、私、セブと·····話してきたの」
その言葉に、ハーマイオニーは驚いた顔をした。
だけど直ぐに『それで、どうしたの?』と優しい声色で聞いてくる。
私の頭を優しく撫でてくれながら。
「ハリーの箒の件、聞いてみたの。セブがしたのって·····でも、あの人ね、否定しなかったの。それどころか、肯定するかのような事まで言って·····」
「やっぱり·····」
「私ね、ハーマイオニー·····私、あの人のことが好きだったの」
ハーマイオニーの目が、ゆっくりと見開かれていく。
前に彼女には年上の人に恋をしていると話していたけれど、それがセブとは言ってはいなかった。
ハーマイオニーもまさか、私の好きな人がセブだとは思ってもいなかったようで、凄く驚いた顔をしている。
「貴方、スネイプに恋をしていたのね·····」
「優しい人だったのよ、私が知っているセブは。周りが話してくれない両親の話をしてくれて、呪文の唱え方も色々教えてくれたの。頭を不器用に撫でてくれたのに·····今、ホグワーツにいるあの人は、私が知ってるセブじゃない気がして·····」
「アリアネ·····」
「好きだったのに、今は·····あの人こと、嫌いになってきてる·····。ハリーを殺そうとしたかもしれないあの人を·····」
好きだという気持ちが、どんどん薄れていた。
あんなに好きだったのに、あんなにも恋をしていたのに直ぐにその気持ちは消えていく。
こんなにも簡単に消えていくなんて思わなかった。
今は、セブのことが嫌いになっている。
不器用に私を撫でてくれたセブは、何処に言ったのだろうと顔を手で多いながら嗚咽を漏らしていれば優しくハーマイオニーに抱きしめられた。
「苦しいわよね·····。好きだった人が、酷いことをしていたなんて知れば。泣いていいわ、私しかいないもの」
「ハーマイオニー·····」
「いっぱい泣いていいの」
私は、ちっちゃい子みたいに泣いた。
その間ハーマイオニーはずっと、私の傍にいてくて頭を撫でくれたり抱きしめてくれていた。