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シリウスに導かれ【ハリーポッター❈救済】

第3章 不思議なみぞの鏡【賢者の石】


「そのようだったな」
「その時、私見たの。貴方がハリーの箒に呪文をかけていたのを。·····思いたくもないけれど、ハリーの箒に呪文をかけて妨害して殺しかけたのじゃないでしょうね」

この時、私はセブに否定してほしいと思っていた。
そんな事はしていないと、きっぱりと否定してほしいと思っていたのに·····。

「さあ、それはどうでしょうな」

否定しなかった。
肯定もしていないけれど、その言葉は肯定していると言ってもおなしくない言葉でもあった。
それにセブは、細く微笑んでいた。

「まさか、ハリーを殺そうとしたの·····?」
「もし、そうだとしたら·····どうする?」
「·····貴方が、そんな事、する人とは思えないのに·····」
「アリアネ、人は見掛けと中身は違う」

じわりと目頭が熱くなる。
否定してほしいのに、ちゃんと『吾輩はそんな事はしていない』と言って欲しかった。
だけど彼は、まるで肯定するかのような言葉を言ったのである。

「最低よ、貴方!失望した·····!貴方なんて、大っ嫌いだわ!!」

そう叫んだ瞬間、目からは大粒の涙が零れた。
目元を乱雑に拭った私は、走り出してからグリフィンドール寮へと向かう。
階段を一気に駆け上がり、太った婦人の肖像画の前に立ち、泣いている顔を見られないように俯いた。

「合言葉は?」
「豚の鼻!」

叫んで言えば、太った婦人は驚いた顔をしていたけれど肖像画を開けてくれる。
そして私は急いで中に入り、俯いたまま談話室に駆け込む。

「あ、アリアネ。って、君泣いてるの?」

談話室に入れば、ロンが声をかけてくるが彼に私は怒鳴った。

「泣いてないわ!目にゴミが入っただけよ!!」
「な、なんで怒ってるんだよ·····!?」
「アリアネ、どうかしたの?」
「なんでもないわ·····!」

八つ当たりのように、ハリーにも怒鳴った私は女子寮へと繋がる階段を駆け上がった。
そして誰もいない部屋に入り、自分のベッドに倒れ込む。

枕を抱きしめながら、嗚咽を押し殺して泣いた。
暫くすると誰かが来た足音が聞こえてきたけれど、それを気にする余裕なんてない。
そして足音は私のベッドの横にきて、ギィ·····とベッドが沈む音がした。
誰かがベッドに腰掛けたのである。

「アリアネ、何かあったの·····?」
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