第3章 不思議なみぞの鏡【賢者の石】
忘れていてくれたら、良かったのに。
そう思いながらも隠すのも無理だと判断した私は、正直に話すことにした。
「私、あの人とは小さい頃からの顔見知りなのよ·····」
セブが私の両親と親友だったこと、両親が死んでから私を見守っていたこと。
その話を全て言えば、ハリーたちはかなり驚いた顔をしていたけれど、ハグリッドはどこか納得した表情を浮かべていた。
「そうか、スネイプはおまえさんを·····。そうだな、ウィリアスとヘレンは、アリアネの両親はスネイプの親友だったからな」
「え、そうなの!?」
「ええ、そうらしいわ。でも、あの人には少し軽蔑したわ·····今回のことで」
「アリアネ、まだ今回のハリーの箒の件がスネイプの仕業とは·····」
「そうに決まってるわ!尚更許せないわ。だって、スネイプは自分の親友の子供であるアリアネの、親友を殺そうとしたなんて!最低だわ!」
「ああ、そうさ!」
ハーマイオニーとロンは、殺されかけたハリーよりも怒っている。
だけどハグリッドはやっぱり『違う』と言い、なんとも言えない空気のまま、私たちはハグリッドの小屋を後にした。
その夜のこと。
夕飯を食べ終えた私たちは、ハリーの勝利のお祝いをしながらグリフィンドール寮へと戻っていた。
そして廊下を歩いている時、見慣れた烏のような真っ黒な姿を見つける。
「·····ハリー、ロン、ハーマイオニー。先に行っててちょうだい。ちょっと用事を思い出したわ」
「え!?今から!?」
「大丈夫よ、門限までには戻るから!」
それだけを言うと、私はその場から走り出した。
後ろからハリーたちの声が聞こえたけれど、それを無視して黒い姿を追いかける。
黒い姿をしたその人は、中庭に出ていき、そして足を止めたので私も足を止めて声をかけた。
「セブ」
短く、声を震わせながら声をかけた。
するとゆっくりと、セブはこちらへと振り返ってから私へと視線を向ける。
「ここで、何をしているのだね、アリアネ」
「貴方に、聞きたいことがあるの」
「ほう。その様子だと、授業の質問というわけでもなさそうですな。一体、何を聞きたいんだ?吾輩に」
相変わらずのゆったりとした口調。
私は彼を真っ直ぐに見ながら、口を少し開いて緊張しながら聞いた。
「今日のクィディッチの試合、ハリーの箒がおかしな動きをしていたの」