第3章 不思議なみぞの鏡【賢者の石】
やっぱり、あれは守るために置かれた犬なんだ。
それを確信していれば、ハリーが身を乗り出してからハグリッドに『何を?』と聞く。
私たちは何を守っているのかそれが一番気になっていたたが、ハグリッドは答えてはくれなかった。
「もう、これ以上聞かんでくれ。重大秘密なんだ、これは」
「だけど、スネイプが盗もうとしたんだよ」
「バカな。スネイプはホグワーツの教師だ。そんなことするわけなかろう」
「ならどうしてハリーを殺そうとしたの?」
ハーマイオニーが叫ぶ。
怒っているような、そんな表情であり、最初は彼女はセブが何かを盗もうとしていた話を信用しなかったけれど、彼女の中で何か変わったみたい。
「ハグリッド。私、呪いをかけてるかどうか、一目でわかるわ。たくさん本を読んだから!じーっと目をそらさずに見続けるの。スネイプは瞬き一つしなかったわ。この目で見たんだから!」
「おまえさんは間違っとる!俺が断言する」
「ハグリッド!なんでそこまでして、セブを·····あの人を庇おうとするの!?」
私もセブがハリーを殺そうとしたなんて、信用したくないけれどちゃんと見た。
セブが何かを唱えているのを、そしてじっとハリーを見て呪いをかけているのを見たのだ。
信じたくないけれど、きっと·····。
だけれどハグリッドは信じなかった。
彼はそこまでして何故、セブを信用しているのか·····信用しているというよりも、私たちの言葉を信じないのだろうか。
「ハリーの箒が何であんな動きをしたんか、俺にはわからん。だがスネイプは生徒を殺そうとしたりはせん。四人ともよく聞け。おまえさんたちは関係ないことに首を突っ込んどる。危険だ。あの犬のことも、犬が守ってる物のことも忘れるんだ。あれはダンブルドア先生とニコラス・フラメルの·····」
「あ!」
「ニコラス・フラメル!?」
私とハリーは聞き逃さなかった。
ハグリッドが『ニコラス・フラメル』と言ったのを。
「ニコラス・フラメルっていう人が関係してるんだね?」
ハグリッドは、口を滑らしたことに凄く腹を立てているようだった。
だけどもう、これ以上は喋らないと言わんばかりに口を閉ざしてしまう。
すると、話題の矛先は私の方へと向けられたのであった。
「さあ、次は貴方の話よ。アリアネ」
「·····え?」
「なんで君、スネイプを名前で呼んでるんだ?」