第3章 不思議なみぞの鏡【賢者の石】
チェイサーたちは、自分の役割を忘れたように二人を眺めたまま。
でもハリーの方がスリザリンの選手よりも速くて、スニッチを追いかけていた時だ。
スリザリンの、マーカス・フリントがハリーにわざと体当して邪魔したのである。
ハリーは箒から落ちそうになっていたが、なんとかしがみついていたので、ホッとした。
その瞬間、グリフィンドールからは怒りの声が湧き上がってブーイングも溢れ出す。
「反則だ!」
「何今の!?最低よ!!」
「フレッドとジョージの言った通りだった!アイツ最低だな!」
フーチ先生がフリントに厳重注意する。
そしてグリフィンドールにゴール・ポストに向けてのフリー・シュートを与えてくれる。
その間にスニッチは何処に行ったのか分からなくなっていた。
「スリザリンのあの選手、本当に最低だわ。年下に体当たりしなきゃ試合できないのかしら。恥を知ればいいのに!」
「アリアネがクィディッチの試合に出てたら、相手を箒から突き飛ばしそうだな·····」
「何か言ったかしら、ロン?」
「何も言ってません!」
なんて話していれば、下の観客席からディーンが叫ぶ。
「退場させろ。審判!レッドカードだ!」
「サッカーじゃないんだよ、ディーン。クィディッチに退場はないんだよ。ところで、レッドカードって何?」
「でも退場させるべきよ、あんな選手」
「ああ。ルールを変えるべきだわい。フリントはもうちっとでハリーを地上に突き落とすところだった」
私とハグリッドは何度も頷きながら、フリントを睨みつけていた。
そして実況者であるリー・ジョーダンも腹を立てていたのだろう。
「えー、誰が見てもはっきりと、胸くその悪くなるようなインチキの後·····」
「ジョーダン!」
マクゴナガル先生の叱責が飛ぶ。
「えーと、おおっぴらで不快なファールの後·····」
「ジョーダン、いいかげんにしないと」
「はい、はい、了解。フリントはグリフィンドールのシーカーを殺しそうになりました。誰にでもあり得るようなミスですね、きっと。そこでグリフィンドールのペナルティー・シュートです。スピネットが投げました。決まりました。さあ、ゲーム続行。クアッフルはグリフィンドールが持ったままです」
二度目のブラッジャーをハリーはかわしていた。
だけど、何だか様子がおかしい事に気がつく。