第3章 不思議なみぞの鏡【賢者の石】
「ええ、アリアネと同じだけど違うと思うわ。そんなはずない。たしかに意地悪だけど、ダンブルドアが守っているものを盗もうとする人ではないわ」
「私もそう思うわ」
セブはたしかに意地悪だし、無愛想だし、ハリーに嫌味を言ったりはするけれどもそんな事をしようとする人間には見えない。
だけどハリーとロンは違うようだ。
「おめでたいよ、君たちは。先生はみんな聖人と思っているんだろう。僕はハリーとおんなじ考えだな。スネイプならやりかねないよ。だけど何を狙ってるんだろう?あの犬、何を守ってるんだろう?」
きっと、セブは盗もうとなんてしていないはず。
ベッドに入りながら、私はある事を思い出して、少しだけ目を見開かせる。
私を医務室に連れていく時に、セブは少しだけ歩き方がおかしかったのを。
もうあの時に怪我をしていたのだろうか。
なんて思いながらも、足に酷い怪我をしているなら大人しくしていればいいのにと心の中で呟くのだった。
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夜が明けた。
外の天気は晴れ渡っていて、クィディッチが出来やすそうな空だ。
大広間では、こんがりと焼けたソーセージの匂いがしている。
そしてクィディッチの試合に期待したうきうきとしたざわめきが広がっていた。
「ハリー、少しでも食べないと」
「そうよ。朝食、しっかり食べないと」
「何も食べたくないよ」
「トーストをちょっとだけでも」
「お腹空いてないんだよ」
ハリーは緊張しているせいなのか、朝食を食べようとしなかった。
そんな彼に、私とハーマイオニーは少しでもと勧めるけれど食べようとしない。
「じゃあ、せめてヨーグルトぐらい食べて。空腹のままは駄目よ」
「でも、食べたくないんだよ·····」
どうしたものかと思っていれば、シェーマスがハリーに忠告をした。
「ハリー、力をつけておけよ。シーカーは真っ先に敵に狙われるぞ」
「わざわざご親切に」
シェーマスは自分のお皿にソーセージとケチャップを山盛りにしている。
そんな彼を見ながらハリーは少しげんなりとしていた。
11時過ぎ。
クィディッチ競技場には学校中の生徒が観客席に詰めかけていた。
双眼鏡を持っている生徒も沢山いて、観客席は空中高くに設けられている。
「早く、こっちだこっち!」
「ここならよく見えるし、応援の声も聞こえやすいはすだ!」