第3章 不思議なみぞの鏡【賢者の石】
するとフレッドは私と視線を合わせるように、屈むと何かを企んだように微笑む。
「アリアネ、土曜日の試合にミニスカートを履いてきてくれよ。それだけで、僕たちは大いに頑張れる」
「·····履くわけないでしょう!!変態!」
「ロン、貴方のお兄様の一人·····なんだか」
「言わないでくれ」
そして、クィディッチ試合前日。
四人でハーマイオニーが持ってきたジャムの空き瓶に入れられて持ち運びできる火を真ん中に置いて囲んだ。
火を囲みながら、ハーマイオニーが持っていた『クィディッチ今昔』の本を広げる。
「クィディッチには、七百もの反則があるらしいわ」
「七百!?」
「試合中の死亡事故はなかったけど、何人かの審判が試合中に消えて、その後さ数ヵ月後にサハラ砂漠で見つかったとかあるんだよ」
「サハラ砂漠まで·····」
火を囲んでいた私たちは、次は背中を温めることにして火を背中の方に持って行った。
寒い寒いと四人で引っ付いてから、本を眺める。
ハーマイオニーは、トロール事件からはずいぶんハリーとロンに優しくなった。
規則を破ることに少しだけ寛大にもなっている。
「あ、嘘だろう·····スネイプだ」
「え?」
「本当だわ·····」
「こっちに来てるじゃないか·····!」
本を見ていれば、セブがこちらにやって来ていた。
私たちは直ぐに火は禁止にされているに違いないと思って、ピッタリとくっ付いて火を隠す。
だけどそれが余計に悪いことをしています·····と言わんばかりの姿で、それを見たセブが眉間に皺を寄せた。
そしてふと、ある事に気が付いた。
セブが脚を引き摺っていて、怪我をしているのだろうかと思えばセブは眉を寄せて声をかけてくる。
「ポッター、そこに持っているのは何かね?」
ハリーは素直に、『クィディッチの今昔』を差し出す。
「図書館の本は校外に持ち出してはならん。よこしなさい。グリフィンドール五点減点」
そんな規則あったかしらと思っていれば、セブはまた脚を引き摺りながら歩いていってしまう。
彼の姿が消えるとハリーは『規則をでっち上げたんだ』と怒っていた。
「だけど、あの脚はどうしたんだろう?」
「知るもんか、でもものすごく痛いといいな」
ロンの悔しげな声を聞きながらも、私はセブの背中と引き摺っている脚を見ていた。