第3章 不思議なみぞの鏡【賢者の石】
十一月になり、季節はどんどん冬へと向かっていた。
学校を囲んでいる山は灰色に色付き、湖はとても冷たくて触れることはできない。
「見て、ハーマイオニー。校庭に霜が降りてるわ」
「もう雪が降ってもおかしくなさそうね」
校庭にな霜が降りていて、葉が濡れている。
たまに窓から外を見ればハグリッドが、クィディッチ競技場のグラウンドを箒で霜を取っていた。
そして、クィディッチ・ジーンズが到来した。
ハリーは何週間も練習していて、土曜日はいよいよハリーの初試合。
「ハリーの初試合よ。めいっぱい応援しなきゃ」
「ハリー、スリザリンになんかに負けるなよ」
「グリフィンドールが勝ちますように」
私とロンとハーマイオニーは、そう呟く。
土曜日の試合はグリフィンドール対スリザリンであり、グリフィンドールが勝てば、寮対抗総合の二位にグリフィンドールは浮上する。
「応援、いっぱいしなきゃ」
「そうよね!ハリーに届くように」
「ハリー、スリザリンをコテンパンにしてくれ」
「でもさ·····。僕って極秘の秘密兵器って言われたけれど·····話が漏れてるよね」
そう、ハリーがグリフィンドールのチームのシーカーなのは極秘。
なのにいつの間にかホグワーツに、ハリーがシーカーであることが漏れていた。
きっと素晴らしいプレイをすると期待してみたり、皆がマットレスを持ってハリーの下を右往左往するだろうとけなしてみたり。
「ハリー、貶してくる連中なんか気にしちゃ駄目よ。ほぼ嫉妬のようなものだもの」
「うん、分かってるよ。ありがとうアリアネ」
「いっぱい応援してるから」
「「僕たちの応援はしてくれないのか?」」
よく似た声が聞こえて、私とロンがため息を吐いた。
声の主は振り返らなくても分かる、双子のジョージとフレッド。
「一応、応援するわ」
「一応だなんて」
「酷いな」
「「いっぱい応援してくれよ」」
いつの間にか、私の左右にジョージとフレッドが立っていた。
「ジョージ、フレッド、辞めろよ。二人ともデカイんだからアリアネが挟まれて可哀想だろう。暑苦しいよ」
眉を寄せながら言うロンに、ジョージとフレッドが『チッチッチッ』と言いながら指を左右に振る。
「今日は寒いから、こうして暖めているんだ」
「ロニー坊やも暖めてやろうか?」
「要らない!」