第3章 不思議なみぞの鏡【賢者の石】
ハーマイオニーは項垂れながら、帰る。
するとマクゴナガル先生は私を見てからギョッとした顔になった。
「Ms.フリート!貴方、頬を怪我しているではないですか!?」
「あ·····トロールが暴れた時に壊れた瓦礫が飛んできて·····頬を切ったんです」
「急いで、医務室に行きなさい」
「では、吾輩が連れて行きましょう。Ms.フリート、行くぞ」
「あ、はい·····」
セブは私に『着いてきなさい』と言い、ハリーとロンが気になったけれどもセブの背中を追いかけた。
それよりも、なんでトロールがホグワーツに入り込んだのだろうか。
なんて思いながら歩いていれば、あっという間に医務室に辿り着いた。
「マダム・ポンフリー。怪我人を連れてきたので、治療していただきたい」
セブは医務室に入ると、マダム・ポンフリーにそう伝えてから私を彼女に見せた。
「あらあら、怪我をしたのですね。こちらにお座りなさい」
「はい」
椅子に座らされた私は、マダム・ポンフリーの治療を受ける。
前にネビルが言った通り、マダム・ポンフリーはあっという間に頬の怪我を治してくれた。
血も止まり、怪我の痕も綺麗に消えてる。
それに驚いていれば、マダム・ポンフリーは私に優しい微笑みを浮かべた。
「女の子ですから、顔に傷を作ってはいけませんよ。小さな怪我だったから、直ぐに治りましたが大きな怪我だと傷が残るかもしれませんからね」
「はい。ありがとうございました」
「いいえ、お大事に」
そして私は椅子から降りてから、セブと共に医務室を後にした。
怪我が治った事に安堵しながら、暗い廊下を歩いていれば、前を歩いていたセブの足が止まる。
「アリアネ、だから言ったであろう?」
「え?」
「アレと関わると、ろくな事が起きないと」
ゆっくりと、セブはローブをひるがえしてから私の方へと振り向く。
その瞳はとても冷たくて、見られた私は身体が冷たく凍るのではないかと錯覚してしまった。
「頬に怪我をして·····。アレと関わるなと言ったのに、関わるからだ」
「·····この怪我は、ハリーのせいじゃないわ。トロールのせいよ」
「それでも、怪我をした。そう、ポッターと関わるからだ」
「だから·····ハリーのせいじゃ」
そう怒鳴ろうとした時、セブは腰を屈めて私の両肩を強く握った。
痛くは無いけれど、その強さに驚く。