第2章 偶然
カフェからの帰り道
私とセイヤは並んで歩く。
セイヤはよく本を読むらしい。
私の好きな恋愛ものではないみたいだけど、なんだか難しそうなものも漫画も色々読むらしい。
おすすめの本を今度借りることになった。
「じゃ、俺はこっちだから。」
「…? 私も…」
このやりとりは3回目。
私がセイヤについてあれこれ質問攻めしてる間にあっという間にマンションの前まで辿り着いた。
なぜかそこでセイヤも立ち止まる。
「…」
「……?」
「見送ってくれたの…?ありがとう、私ここだからーー」
「いや。俺の家はここだ。」
「え……えぇぇぇぇえええ?!」
「っ!!確かに驚いたが、驚きすぎじゃないのか。これだけ部屋数があるんだ。同じマンションにいても不思議ではない。」
「いやいやいや、私2週間あなたを探してたけど見つからなかったのよ…!出入りとかでも会わなかったし…」
「…休日はほぼ家から出ない。行くとしてもさっきのカフェくらいだな。それよりーー」
早く家に入りたいと言わんばかりにセイヤが私を見つめる。
エントランスで少し話してしまったがそんなセイヤに促されるように歩を進める。
残念ながらお家は隣同士ではなかったがセイヤはどうやら私の住んでいる階の上の階に住んでいたらしい。
灯台下暗し…いや上の場合はなんていうんだろ…。
とにかく、こんなに近くにいるってことが分かったらなんだか嬉しくなってきちゃった…!
ブブッ
スマホが鳴り見るとメッセージが1通。
【セイヤ】
今日はまたあんたと話せてよかった。
実は俺もあんたを探してたんだ。
それじゃあ、また。
おやすみスタンプを押して私が返信する。
私を探してた…?
なんでだろ…。