第5章 触れ合い
ーー
「さて。腹が減ったな。…何か作る。」
なんとなくどうしようもない空気が漂っていたが
沈黙を破ったのはセイヤだった。
キッチンに向かうと冷蔵庫を開けてしばらく考え込むセイヤ。
「…夢主、何かリクエストはあるか?」
「…えっと、何が作れそうかな?」
「そうだな。今、冷蔵庫には…鶏肉と梅干しと卵と、それから…」
「…オムライス、なんてどうかな?」
「オムライスか。了解。じゃあ早速作るぞ。」
「何か手伝うよ!」
「そうだな…じゃあこれを。」
お米を研ぎ、炊飯している間に私が渡されたのは卵と梅干しだった。
「あの…セイヤ…梅干しはしまっておいて…?」
「あ、あぁ。…わざとじゃないぞ。」
セイヤが冷蔵庫に梅干しをしまうのを確認して
お椀に卵を割り入れてお箸で溶いていく。
カチャカチャカチャ
その横で包丁を握るセイヤ。なんだか危なっかしいが信じてみよう。
「…できたぞ。」
「おぉ!…ってセイヤこれ…」
まな板から持ち上げると、全部繋がって切れ目だけ入った1枚の鶏肉が目の前に広がる。
「あ、いや。これはちょっとした練習だ。今度こそちゃんとやる。」
「…ふふっ。剣の扱いはすごいのに、包丁は苦手なのね。」
セイヤは少し困った顔をしてこちらを見ると再び真剣な眼差しでまな板の上の鶏肉に向き合った。
ーー🎵♩♪♬ーー
可愛らしい音楽と共にご飯が炊けたことを知らせる電子音が鳴った。