第5章 触れ合い
「よし、米が炊けた。」
「それじゃあ、ケチャップライスを作って…」
「あんたは手際がいいんだな。普段から料理をするのか。」
「そうだね、あれこれ味を想像して作ってみて思い通りの味になると楽しいし。淡々と作業するのも考え事をしちゃう時とか良いのかも!」
「思い通りの味…か。俺はなかなかそうはならない。オーブンは爆発寸前になるし、フライパンだと大体の物は焦げる。味がどうなのかも分からない状態のものもあったな。」
「セイヤ…あなた一体普段何を食べているの…。」
ちょっと怖くなってセイヤを見ると彼は小首を傾げてさも当然のように返答してくる。
「その時思いついたものだ。」
「……そう。」
そういうことじゃないんだけど、という言葉はぐっと飲み込んだ。
良い感じのオムレツが出来上がりお皿に盛りつけていく。
チキンライスにふわふわのオムレツ。今回のオムライスは自信作だ。
「できたぁーっ!」
「夢主は楽しそうに料理をするんだな。」
「ふふっ、そうかもね。何より今はセイヤが喜んでくれるかなぁって考えて作るのが楽しいんだよ!」
「それは嬉しいな。食べるのが楽しみだ。」
2人で料理を運び席につく。
「「いただきます。」」
ひとくち食べてみる。うん、やっぱり上手くできてる!
チラリとセイヤの様子を伺ってみると食べながらふと視線を上げたセイヤと目が合う。
「うまい。」
「お粗末さまです〜」
思わずニヤけてしまう口元を俯いて隠しながら私もまたひとくちと、食べ進めていく。
「「ごちそうさまでした。」」
綺麗に完食してお皿を下げてセイヤはコーヒーの準備を
私は皿洗いを始めた。
「置いておいて構わないのに。」
「ううん。私がやりたいからやってるの。2人で作ったから、美味しくできたね!」
「あぁ。卵が焦げなかったのはいつぶりだろうか…。」
コーヒーメーカーの操作をしながら遠い昔に記憶を馳せるセイヤ。
なんだか面白くてつい笑ってしまう。