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夢と現実と時々妄想

第3章 気づいてない


怪我をしている彼女を病院近くまで運び終え家に帰る。

【会いたいんです、私が…】

空耳じゃないよな、さすがに。
そうだと嬉しいがそれよりなんだか慌てた様子だった。心配だな。

なぜ俺が彼女のことをこんなに気にするのか、正直俺自身にもわからない。
なんだか守りたくなったのだろう。
強いふりをするところが昔と変わっていなかったな。


ーー


夢主が手作りクッキーを持ってきてくれた。

見た目もこだわっているようだ。
1枚1枚色々な模様が描かれているカラフルなクッキーをひとつまたひとつと口へ運ぶ。

タッタッ

【うまかった。】

何を書こうかあれこれ試行錯誤してみたもののシンプルが1番良いと思いこの一言を添えてSNSに投稿した。


ーー夢主にお礼のメッセージを……zzz


その後の記憶はない。
どうやら未来にタイムスリップしてしまったようだ。

よくあることだ。

目覚めのコーヒーを飲むため俺はカフェに足を運んだ。


カランカランーー

「…今日はあんたの方が早かったんだな。」

「あ、セイヤ!早いと言ってももうお昼過ぎてるけどね…また寝ていたの?」

「あぁ。気がついたらこの時間だった。」

「そうだ!この間のクッキー…どうだった?実はSNSの投稿見たんだけど。美味しかったって。」

「あぁ。俺は嘘は言わない。書いてあった通りだ。うまかった、ありがとう。」

照れ笑いする夢主を見つめる。
表情がいつもコロコロ変わり本当に彼女はおもしろい。

「あ!そうだ!駅前の施設にあるゲームセンターでクレーンゲームに新しいキャラクターが追加されたの…!」

ほら、見て!と彼女はキラキラした瞳でスマホを俺に向ける。

「…ハッピー、トマト?」

「そう!すっごく可愛くない?セイヤ、クレーンゲームとかってするの?もし良ければ一緒に行かない?」

「そのトマトもハッピーなのかもしれないが俺には今のあんたもハッピーに見える。嬉しそうだ。」

つられてこちらも笑顔になる。
夢主は本当に不思議な人だ。

昔のことを覚えているのかいないのか
あっという間に友だちのように会話を進めていく。

夢主はこの間の帰り道も本の話、好きな食べ物や飲み物の話、洋服や趣味など次から次へと話題を変えて忙しくも楽しそうだった。

俺は全然悪い気はしない。
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