• テキストサイズ

夢と現実と時々妄想

第3章 気づいてない


俺が夢主に出会ったのはもう何年も前の話。

ワンダラーを1人で片付ける凄腕の少女がいると
彼女はちょっとした有名人だった。

俺はその少女が戦ってる姿を見たことがなかった。

カフェでいつも静かに本を読む姿が印象的な少女。

(彼女がハンター…?)

特殊なEvolを持つ彼女を見た時、噂の人物なのだということはすぐにわかった。

周りの大人たちがヒソヒソ本人の近くで噂話をする中
凛とした姿で本を読み続ける彼女に俺は興味が湧いた。
ただなんとなくその背中が寂しそうに見えた。

1人で戦場を潰す
家族まで皆殺しにしてしまった
制御ができないと味方まで…

噂はどれも尾鰭がついてありもしないことが世の中に出回ってしまうものだ。

外に出ると先に出ていたはずの彼女が物陰に隠れてこっそり泣いているのを見てしまった。
隣には連れらしき男性がいたためその時は何も話しかけることはできなかった。

強さの裏には弱さがある、か。

俺は彼女がどんな人物なのか気になっていた。

ただきっかけもなく週末に彼女をカフェで見かけるのが俺の密かな楽しみになっていた。

しかししばらくして彼女をカフェで見かけなくなった。
心配になったが探す術はない。

諦めて俺は自分の日常にすんなりと戻っていった。
もともとそんなに執着心は強くない方だ。


ーー

「…っ!!」

とある日、危険な区域で多くのワンダラーの反応があり急いで行ってみると戦う1人の女性を見つけた。
かなり押されている。

すぐに駆けつけ周りのワンダラーたちを殲滅すると俺は彼女を見て驚いた。

そう、あの時の少女が
面影を残したまま、Evolも間違いなく彼女のものだ。

すぐに昔のことを話すことはなかった。

話したところでどうなる。

あの時あんたは何を思っていた、悲しかったのか。
どこに行ったんだ。
今はなぜここにいる?
なぜ1人で戦っている?

そんなことを聞いてどうする。

きっと彼女は俺のことなどわからないだろう。
俺は俺のやることを終わらせよう。
/ 26ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp