第5章 知恵者グレーテル〜旦那が勝つか私が勝つか?
「何ですって?健太!!!千郷さんに謝りなさい。実はね、千郷さんから電話があって健太のことで困ってるって言うから来たのよ。そしたらなんなの??千郷さんにそんな濃いもの勧めちゃダメでしょ?孫ちゃんまで濃い味付けのを食べさせる気なんて許さないわよ!!!」
義理のお母さんは血相を変えて健太を叱ってくれている。我ながらいい作戦だ。こんなこともあろうかと義理のお母さんに健太さんのことで相談があると電話しておいたのだ。
「なんだよ?2人してグルかよ!!!やってられねーよ。」
健太が騒ぎ立てたので私はいてもたってもいられず健太に怒声を言い放った。
「今は妊婦だから我慢してやるけど出産したらあんたとは離婚だから!これから子供がミルク終わって離乳食に入ったらあんたは離乳食にもソースを混ぜかねないのよ!そんなの見てられない。私はもう決めたんだからね。それに今のスーパーの店長がいつでも復帰してねって言ってくれてるのよ。近々、うちの両親も呼んで話し合いしましょうか?」
「うっ・・・。」
私の気迫に負けたのか健太はそれ以上言い返してこなかった。
それからは義理のお母さんの作った料理にソースをかけることも無くなった。
「ごめんなさいね。健太は関西人だからとか粉もん文化だからとか言ってるけど関西人だからって毎日のようにたこ焼きやお好み焼きなんて食べないのよ。確かに一家に一台たこ焼きはあるけど毎日じゃないの。こんなことになってごめんなさい。」
義理のお母さんが謝ってくれたけど私は丁寧に言葉を返した。
「いえ、お母さんのせいじゃありません。気を落とさないでください。」
そして後日、実家の両親にも連絡を入れてとあるレストランで待ち合わせることになった。