第5章 知恵者グレーテル〜旦那が勝つか私が勝つか?
そして私が妊娠中期になって仕事復帰した頃に義理のお母さんがうちにやってきてくれた。義理の両親とは今年のお正月以来会っていないけど気立てが良くてとてもいい両親で感謝している。
「こんばんはー。」
「すみません、遅くに来ていただいて。」
私が玄関先で出迎えると義理の母は笑顔で言った。
「いいのよー。うちの主人は単身赴任で今いないし私も1人で寂しかったから。それに千郷さんの力になりたかったし。仕事しながら大変そうね。今日の夕飯は私に作らせてよ。なんなら明日も作りましょうか?」
「ありがとうございます。」
その言葉を聞いて健太が上機嫌になる。
「母さんのご飯が食べられるなんて嬉しいなぁ。最近、千郷の飯がまずくてさぁ。」
「そうなの?でも千郷さんってスーパーでお惣菜作ってたのよね?それなら料理には自信あるはずじゃ?」
義理の母柄首を傾げるも私が諭して料理を作ってもらった。
「いただきまーす。」
流石にお母さんの前ではソースかけないだろうと思って食べながら様子を見ていると健太はドバドバとソースを料理にかけていた。
「ちょっと健太!!!ちゃんと味がついてるんだからソースなんてかけないでちょうだい!!胡椒とか七味ならいいけどソースなんてダメよ。」
「えっ?いやだってー。」
健太は狼狽えてる。お母さんに注意されるとは思っても見なかたっだろう。箸を持つ右手が震えている。
「いつも千郷さんの作る料理にもソースかけてないでしょうね?味が濃くなると健康に良くないのよ!!!」
「でも俺、関西人だしたこ焼きとかお好み焼きとかにはソースかけるじゃん?」
「それは別でしょ?ソースかけない料理だってあるわよ。」
義理のお母さんと健太が言い合っていたので私が普段の健太の話をしてあげた。
「いいんです。何を言ってもこの人には響かないですから。いつも料理にソースかけるし、味噌汁やサラダにもかけて食べてるんですよ?この間なんて気を利かせてソースを事前にかけて料理を出したのに私に食べろと勧めてきたくらいですから。」