第5章 知恵者グレーテル〜旦那が勝つか私が勝つか?
結婚してからは結婚式や新婚旅行でドタバタと日々が過ぎた。
新婚旅行はスペインとイタリアに行ってきた。美食の国だから行っておきたかったのだ。
そして新婚生活は順風満帆に過ぎたけどー。
「あれ?なんかウスターソース減るの早いな。何でだろう?」
冷蔵庫を開けて家で試作品の開発をしようと思って見たらウスターソースのボトルが減っていた。
うちは頻繁に揚げ物をする家庭ではない。ではなぜ?
それには理由があったのだ。交際してる頃はお互いの家を行き来したり、デートスポットに行ったりした。それはすごく楽しかったけどー?
そうだ、思い出した!健太さんは大阪出身で謂わゆる関西人。
ここ最近、私が料理を美味しく作って食卓に出しても健太さんは何でもかんでもソースをかけてしまう。
「あのさぁ、これもおいしいよ?でもなんか足りないんだよね。ほら、関西人ってお好み焼きとかたこ焼きって毎日食べるし粉物文化だからソースじゃないとね!」
健太さんはそう言って肉じゃがにソースをドバドバかけて食べ始めた。
「ちょっ、待ってよ!肉じゃがって味ついてるんだよ?醤油にみりん、酒だって出汁も入れてるし何が不満なわけ?そんなの味が濃くなって美味しく無くなるよ?」
それに健太さんは味噌汁やサラダにもソースをかける。
もうこの時点で終わってるけど、なんとか元の健太さんに戻ってほしいと思った私はあれこれ考えることにした。