第5章 知恵者グレーテル〜旦那が勝つか私が勝つか?
「あの、もしかしてこのお惣菜を作ってる人ですか?」
「そうです。海沼といいます。」
「いつも美味しいお惣菜をありがとうございます。」
これがきっかけで私は青年と仲良くなった。LINEのアカウントを交換してやり取りをしていくうちに交際が始まった。
そして彼が私の家に来てくれることになった。そうなれば家で愛情いっぱいの料理を作らないと。
彼の名前は林 健太という人だった。彼は大手のIT企業で働いている25歳の人だ。
さて、何を作ろうかな?と思っていると健太さんがやってきて一緒に買い物にでかけた。ウキウキして買い物をする。
「好き嫌いとかあるんですか?」
「あージビエはダメですね。あとはナマコかな?」
「わかりました。」
LINEで聞いた話だと健太さんは大阪出身でお好み焼きやたこ焼きが好きだと言ってた。それならお好み焼きやたこ焼きパーティーでもいいけど、せっかくだから私の作った料理を食べてほしいと思って張り切って材料を買い込んだ。
私が料理してるところを見学したいと言ってくれたので健太さんに見られながら作る。
だし巻き卵に麻婆豆腐、春雨サラダ、ひじきの煮物や味噌汁なんかを作った。和食と中華が混ざり合った料理がテーブルに並んだ。そして炊き立てのご飯をよそって完成だ。
「いただきます。」
2人で手を合わせて食卓を囲みながら食べる。
「美味しいですね。こっちも美味しい!」
健太さんは美味しいと言いながらあっという間に平らげてくれた。
それがものすごく嬉しかった。そして私たちの交際は1年間続いて健太さんよりプロポーズを受けて結婚した。
プロポーズの言葉は"あなたのご飯が食べたいです。結婚してください"だった。