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現代版おとぎ話

第4章 北風と太陽〜居場所のない家庭生活


最初に生まれたのが海夢だった。夏生まれだったのと生まれた病院が海の近くだったこともあり、この名前にした。海夢が生まれてからは忙しくお互いに協力し合って頑張った。私が若かった頃は男は外で仕事、女は家で家事や育児という風習がまだ根強く残ってはいたものの、私は仕事帰りにできるだけ育児を手伝うようにした。

海夢が生後5ヶ月を過ぎると離乳食が始まるとともに一緒にお風呂に入ったりした。今の海夢じゃ、覚えてないんだろうが一緒にお風呂に入れてやるととても喜んでいたんだがな。それから一緒にお風呂に入るのは小学校3年生まで続いた。

「お父さん、お風呂に一緒に入ろうよ!」
「そうだな。入るか!」
海夢が小学3年生になった頃には琢磨は5歳になっていた。2人をお風呂に入れるのはとても楽しく年も離れていたので入れやすかったのもある。
私が頭や体を洗ってる際には海夢が琢磨の面倒をよく見てくれていたし、湯船の中で危なく無いように一緒に遊んでくれたりもした。

あの頃が本当に懐かしい。しかし今はそんな面影もない。
琢磨が生まれた頃は海夢は5歳で弟ができたんだととても喜んでいた。
琢磨がベビーカーに乗れるようになって一緒に散歩に出かけた時は道行く人に海夢が駆け寄り"弟が生まれたの"と自慢げに話していたっけなー。

そんな昔の話をしても仕方ないか。なんとか家族の絆を取り戻さなくては。でもどうやって取り戻そう?

このままでは2人が思春期を終えても私に話しかけてくれないだろうし・・・親子関係も悪くしたくない。それに妻にも愛想を尽かされないためにも何か手立てを打たなくては。


そう思っていた矢先、私はこんな話を聞くことになる。


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