第4章 北風と太陽〜居場所のない家庭生活
「えーあれすごくお気に入りだったのにぃ。」
「もう一度よく探したら?」
なんだなんだ?妻と海夢の声がするぞ!
この日、私は怠さと眩暈を感じて仕事を早退してきた。家の玄関を開けて中に入ると妻と娘の海夢がリビングで何かを話していた。
海夢は学校はいかなかったのか?それとも雑誌の撮影日ーだとしたら撮影場所に出向いてるはずか。
あっそういや、今日は振替休日とか言ってたな。それにしてもなんの話だろう?
つい聞き耳を立ててしまう。ダメだとわかっているのになぜか。
するととんでもない話が舞い込んできた。
「よく探したよー。彼氏からもらったお気に入りのやつなのにぃ。」
えっ?海夢って彼氏いたのか?知らなかったなー。どこのどいつだろう?いかんいかん、催促しては。ここは黙って聞いておこう。それにしても何を無くしたんだろう?
「じゃあ、おんなじの探して買えばいいじゃない。それか、彼氏さんに正直に言うとか?」
「そんなのダメだよー嫌われちゃうもん。プリの入ったアクキーなのにぃ。」
プリってなんだ?プリントのことが?それともプリクラ?
彼氏からプリントは貰わないよなってことはプリクラか。アクキーとはなんだろ?とスマートフォンで検索するとアクセサリーキーホルダーだと出た。
娘の話によると彼氏からもらったプリクラ入りのアクセサリーキーホルダーを無くしたらしい。どこで無くしたんだ?流石に学校で無くしたなら私は探してやれないぞ!
いかん、フラフラしてきた。私は廊下に座り込んで話を聞いていた。
「だって友達とスタバ行ってた時はあったんだもん。」
スタバとはスターバックスの略だと聞いたことある。
よし、ここは探しに行くしかない。私は意を決して家を出ると娘の探し物を探すことにした。