第4章 北風と太陽〜居場所のない家庭生活
「仕方ないでしょー。どうしても抜け出せない用事があるのよ!お父さんに出てもらって。」
「やだよー。俺絶対お母さんじゃないと参加しねーから。」
「そんなこと言わないで出てちょうだいよー。親子で草取りなんでしょー。」
「クラスの子に笑われるからやだ!それとも俺が学校でいじめにあったらどうすんの?」
「いい加減にしろよ!私が出てやってもいいが琢磨も文句ばかり言ってないで少しは従いなさい。お母さんは息子の行事より大事なランチがあるんだから。」
私が言葉を強く表現したら妻が言葉を返してきた。
「なによその言い方?仕方ないじゃ無い?ランチに行かないと話に入っていけないんだもの。それに息子の行事だって大事だからお願いしてるんでしょ?」
「その言い方だよ。いつも私に子供達の行事は押し付けてきたじゃ無いか?たまには参加したらどうだ?楽しそうな親子レクリエーションだけ出て肝心な面倒くさそうなことだけ避けるなんておかしいぞ!」
「あのね!話を聞いてましたか?別に出たく無いワケじゃありません。たまたま用事が重なっただけです。」
「いやー。いつものことだね。そんなに用事がいくつも重なることあるかね?この前だってー。」
私が妻と言い合っていると琢磨が叫んだ。
「そっちこそいい加減にしろよ!どうしても父さんと出たく無いから俺は不参加でいいよ。だったら父さんも出なくていいしいいだろ?どうせ父さんだってお母さんに言われて仕方なく出るんだろ?そう見え見えなんだよ?だったら出なくていいじゃん!俺は絶対に出ないからな。その日、風邪ひいて休んだことにしておくから。学校に連絡よろしく!」
「ちょっと琢磨!待ちなさい。あっ、たっくーあなたのせいよ!ちゃんと説得しないから。」
妻が残念そうに私に言ったが私はため息しか出てこなかった。
「あのな、仮病を使うってダメだぞ!琢磨に説得してくる。」
そう言って琢磨に説得を試みたものの頑なに聞かなくて仕方なく学校に断りの電話をせざるを得なかった。
なんでこうなっちまったんだー?