第1章 シンデレラ〜継母との確執
「こんなの出鱈目なんだよ。あんたは昔から嘘をつくんだ。だから私が養ってやろうってのに家を出ちまって。どうせ警察を呼んだのもあんただろ?」
「いえ、警察を呼んだのは弁護士の佐伯さんですけど?」
っていうか私、そんなに嘘ついてないけどな。
「ふん!どうせ防犯カメラで脅しても中身は撮れてないんだろう?」
母が自慢げに鼻を鳴らしたので私はつい笑ってしまった。
「何がおかしい?」
母にそう言われてますます笑えてくる。
「だって仮にも継母だとしても私の母ですもんねぇ。こんな出来損ないの娘ですみませんねぇ。でも介護士やってた頃よりいい暮らししてますよ。それに婚約者もできましたし・・:あっ、言わない方がよかったか?」
うっかり口が滑り余計なことを言ってしまい私は後ろを向いて顔の前で手を合わせる。すると佐伯さんが笑顔で手を振ってくれた。
これでよかったのかな?さてさて、そろそらサプライズ第1弾としますか。
まずは会社の防犯カメラを見てもらった。そしたら、しっかり映ってやんのー。父の失態の数々が。
それを見て母は青ざめて震え出し、父は怒り狂って暴言を吐くし姉たちは卑怯だと言い散らかしてくるしで散々だわ。
「おわかりいただけましたか?そしてサプライズはこれだけではありません。こちらを見てください。」
私は自分のスマートフォンを差し出した。
「私の虐待や暴力の数々を惜しげもなくインスタグラムに披露させてもらいました。」
「嘘でしょ?私・・・リタ子の漫画が好きでフォローしてたのに。」
ここで次女よりとんでも発言が炸裂。あー私のことフォローしてくれてたのね。前から知ってたけどね。
「残念です。それ私です。」
「いや、おかしいでしょ?仮にあんたがインスタのアカウントを作るとしても山田みすゞなんだから本名か本名のローマ字表記になるはずよ?」
次女が反論していたので私は優しく教えてあげた。
「私の名前は流石に知ってますよね?みすゞって分けるとこうなるんですよ?みすはカタカナで書くとミスになるので英語でミステイクのこと。みすゞの最後の文字はひらがな返しっていう意味があるんです。だから返すでリターンだからリタ子です。もしかして初めましてかな?」
私の言葉に姉たちも怒りに震え出した。