第1章 シンデレラ〜継母との確執
私は話し合いまでに佐伯さんともしものために準備をすることにした。
「そう言えば聞いてなかったですけどお父さんの職業ってなんですか?」
佐伯さんにそう聞かれて思い出す。
「普通の会社員ですよ。時計とかプラスチック素材とか作る会社です。地元では小さい方なんですけどね。いつも俺は部長だからと自慢げでした。でもちゃんと働いているかどうかわからないんですよね。家でいつもタバコかお酒だったし、母も気づけばいいのに出張だとか言って家を空けることも多かったし。多分、不倫相手の女性と出かけてたんじゃないですか?」
私賀苦笑いすると佐伯さんは考えながら言った。
「お父さんの会社ってわかります?今から行けるか電話して訪ねてみましょうよ。会社での勤務態度とか知りたいですし。」
「なるほど。いいですね。電話番号はわかんないんですけど、会社名なら知ってます。株式会社デラックスです。」
私が教えると佐伯さんはスマートフォンで調べて会社に電話してくれた。
「今から来ていいそうです。行きましょう。」
「はい。」
私たちは車に乗って父の会社に出向いた。
会社に着くと社長さんが出向いてくれて私に頭を下げてくれた。
「そんなことがあったなんて知らずに申し訳ございません。」
「いえいえ、社長さんは悪くないです。色々と父のことで聞きたいことがあるのでいいですか?」
「それなら応接室で話しましょう。」
「紹介が遅れてしまってすみません。私はこういうものです。」
佐伯さんからの名刺を受け取った社長さんはにこやかに頷いて応接室に通してくれた。
お茶を事務の女性が出してくれた時に私は父のことを聞くことにした。
「あの、お茶ありがとうございます。父のことでお聞きしたいんですけど勤務態度とかどうでしたか?」
私がそう切り出すと事務の女性は困った顔をしながら言った。
「実は申し上げにくいんですけど、モラハラ、パワハラ、セクハラも酷かったみたいですよ。私も山田さんが逮捕されたと聞いて何かできないかと思ってい所なんです。そしたら同僚の方が意見箱を置いてくださってお父様の不満が書かれていました。意見箱を置いておくので目を通してください。」
「ありがとうございます。なるほど。いつも勤勉で真面目に見えたあの山田君がねー。」
社長はため息をついて言った。
そして意見箱に手を入れるとわんさかと不満が書かれていたのだ。