第6章 鉄のストーブ〜宗教団体の隠された秘密
ある日の集会終わりのことだった。そこに見慣れない小さな女の子がいた。あんな子いたかな?なんて思っていると女の子が俺の方に走ってきた。
「あっ、お願いです。」
藁にもすがるように女の子は俺の方に駆け寄ってきた。みんなぞろぞろと部屋に帰っていく。
「私をここから出してください。」
「えっ?」
俺は言葉が出てこなかった。正に俺だって脱出計画を考えているところだ。しかし、幹部に見つかってはならない。
「ごめん、そのことなんだけどー。」
俺がそう言いかけた時にマカロンさんが俺を呼んだ。
「坂井さん行きますよ!」
「はい!お嬢ちゃんまた今度ね。」
俺は申し訳なさそうに頭を下げてマカロンさんと部屋に向かった。
「あの生意気なガキなんなんですかね。」
マカロンさんが憤慨している。
「はぁー。」
俺は小さく呟いた。
「ここから出してくださいとか言っちゃってそんなの無理なんだよ!出られるわけないだろー?」
「ははっ。」
俺は怪しまれてはいけないので言葉を合わせる。
「あのガキにはお仕置きが必要かな?あの口を黙らせてやる。明日には覚えておけよ!」
うわっ、子供にも容赦ないとかこいついかれてんぞ!
俺は部屋に一旦戻って本を読むふりをして部屋を出て行った。
「図書館に行ってきます。」
そう言って部屋を出ると集会の時に見かけた女の子を探した。
俺が前いた所は南棟という建物だ。そこに入って手当たり次第に女の子を探した。すると119号室の部屋に女の子はいた。
「あの、話があるんだけどちょっといいかな?図書館に来てくれる?」
「うん。」
女の子は頷いて俺と図書館に向かった。
小学3,4年生と言ったことらだろうか?黒髪にツインテールの女の子は不安そうに俺を見つめていた。
「ここからは小声で話すけどいい?」
「はい。」
「何でここから出たいと思ったのか聞かせてくれる?」
「あなたは幹部になったから私に罰を与える人なんですよね?」
「実はそのことなんだけど俺もここを出たいと思ってるんだ。」
俺の返事が意外だったのか女の子は驚いていた。
「えっ?そうなんですか?実は私のお母さんもこの宗教に入ってて・・・お母さんは宗教に入って人が変わってしまいました。以前の笑顔で優しいお母さんに戻って欲しいのに。」