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現代版おとぎ話

第6章 鉄のストーブ〜宗教団体の隠された秘密


俺は諦めなかった。逃げ出すチャンスを伺っていた。それに幹部の奴らの顔色も常に伺いながらビクビクと過ごしていた。新しい部屋に移ってからは極力の物はベッドに広げないで鞄にしまったままにした。スマートフォンは鞄に入れるとしてパソコンはどうする?鞄に入れたとしても机に置いてないとバレてしまうのでは?

まずは新しい北棟の建物をくまなく見回って場所を確認した。

あっ、ここの部屋は何だろう?見慣れない部屋の前を通りかかりドアを開けるとボイラーが設置された部屋だった。

「なるほど、こんなとこにボイラーが。あっ、この部屋もしかして?」
周りを見て歩くと上に小窓が見えた。窓を開けるも体が入るかどうかギリギリのところだ。ここから出られるかもしれないけど、今は幹部になったばかりだから様子を見よう。


そうこうして1週間が経った頃だった。
「坂井さん、よかったら今度一緒に布教しにいきませんか?」
「えっ?」
マカロンさんにそう言われて俺は驚いた。意外な形で外に出る機会があったのだ。


しかし、布教が目的であって荷物をまとめて逃げ出す隙なんてないんだろうなと考えた俺はマカロンさんの返事に頷きパンフレットを見た。布教活動をしないかと聞かれて頷いては見たけどこんなことしたら俺の脱出に影響が出かねない。布教は1週間後。この日までに俺は脱出すると決めて部屋に向かうとスマートフォンを取り出してカレンダーに予定を入れた。


あそこのボイラーから何としてでも出なくちゃ。それにはまず鞄の大きさをメジャーかなにかで測っておく必要があるぞ!ということはメジャーを探さないとなぁ。この日の夜、母が警察に連絡してくれたらしくLINEが届いていた。警察が明日、この教団を訪れてくれるらしい。それでうまくいけばいいけどそう簡単にはいかないだろうな。俺はそう考えて寝ることにした。
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