第6章 鉄のストーブ〜宗教団体の隠された秘密
その後のことは覚えていない。気がついたらテーブルに朝食が置かれて椅子に座っていた。
朝っぱらから見せしめを見せられて当然、食事は喉を通らない。ギロチンにされた女性はあの後どうなったのだろうか?
信者の他の人に聞きたくても怖くて聞き出せないでる。フォークを握る手がガタガタと震えている。
「どうしたんですか?朝食を食べないと力が出ないですよ。」
「・・・。」
渡辺さんにそう聞かれるも反応に困って黙っているしかない。次第に冷や汗も出てきた。
「随分と顔色が悪いですな?どこか具合でも悪いんですか?」
「いえ、そのようなことは決して・・・。」
林さんにそう聞かれて俺は言葉を振り絞って答えた。
なぜあの女性はギロチンにかけられなければいけなかったのか?そしてなぜ、ギロチンを使ったのか知りたかったが今は聞かないことにした。確かに何も分かってないのだから聞くのは当然なんだろうが今は教団のメンバーを敵に回したくない。それに俺だっていつかはギロチンにかけられるかもしれない。そうなれば教団のメンバーを敵に回すと俺がギロチンにかけられるのも早まるかもしれない。それだけはなんとしても避けたい。今は脱出することよりもこの教団の実態を見て学んで追々、脱出する時に備えるしかない。
ここの教団のメンバーは皆んなおかしい。だって人の首があんなに無惨な姿にされたのに歓喜の声を上げていたのだから。それならまだ聖斗協会に入って間もない俺の方が常識な知識があると思う。それなら少しでも前の自分を見失わずに日々を過ごしていきたい。
果たしてできるのだろうか
そして結局、朝食は食べずにお茶だけなんとか流し込んであとの食べ物は教団のメンバーに全部あげた。空になった食器をトレイに入れて下げに行くと部屋に戻って行った。