第10章 気になるあの子
しかし、相澤はそんな彼らを一瞥し、鋭い視線を送りながら強い口調で言い放った。
「雄英体育祭が迫ってる」
「クソ学校っぽいの来たあああ!!」
相澤の言葉に教室内は一瞬静まり返り、次に訪れたのは興奮のざわめきだった。
敵に襲撃された事件から日は浅い。
それでも、この状況下で雄英の危機管理体制がしっかりしていることを証明する絶好の機会でもある。
相澤が告げた通り、警備は例年の五倍に強化され、雄英体育祭は予定通り開催されるという。
かつてのオリンピックに代わるこの体育祭は、日本においては一大イベントであり、その規模は年々拡大している。
雄英体育祭は全国のプロヒーローが注目する場でもあり、生徒たちは将来の道を切り開くため、そしてプロヒーローへの道を歩むため、この行事を絶対に見逃すわけにはいかない。
彼らにとっては自らの成長と実力を証明する場でもあり、文字通り将来を決定づける貴重なチャンスだ。
相澤は教室の中をゆっくりと見回しながら「年に一回、合計三回だけのチャンスを逃すな」と静かに言葉を締めくくった。
その言葉が生徒たちの心に深く刻まれた直後、教室内には一限目の予鈴が響き渡った。