第2章 本気の裏側
引き締まった空気を破るように、爆豪は殺伐とした言葉と共に個性の爆破を使った。
球は爆発の轟音と共に放たれ、バチバチと火花を散らしながら勢いよく空を突き進んでいく。
次第に爆発音が遠くなると、全員の視界から完全に消えた。
生徒たちは爆豪の圧倒的な力と、異様な掛け声に身を引き、熱を帯びた爆風に目を細める。
ただ一人「戦闘向きの個性だな」と、その力の使い道に思いを巡らせていた結を除いて。
「まず自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」
相澤の言葉は静かな衝撃を与えた。
画面に表示された記録に、生徒たちの瞳はさらに輝きを増していく。
「なんだこれ! すげー面白そう!」
「705メートルってマジかよ」
「個性思いっきり使えるんだ! さすがヒーロー科!」
「……面白そう、か。ヒーローになる為の三年間、そんな腹積もりで過ごす気でいるのかい?」
楽しげな声に紛れて、不満そうな呟きが結の耳に届いた。
相澤の表情は前髪に隠れていて、真意を読み取るのは難しい。
機嫌を損ねたのではないかと、結の胸に不安が押し寄せる。
だが、予想に反して相澤は無表情のまま、淡々と話し始めた。
「……よし。トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分としよう」
「はあああ!?!?」
「生徒の如何は先生の自由。ようこそ。これが雄英高校ヒーロー科だ」
彼の言葉に目を見開き、慌てふためく生徒たち。
相澤はそんな様子を眺めながら、どこか楽しげに髪をかき上げる。
まるでその反応を楽しんでいるかのようだった。
周囲に広がる動揺と焦りが、一際強い緊張感を生み出す。