• テキストサイズ

お友達から始めよう【ヒロアカ】

第7章 酷悪



「――ごめんよ、皆。すぐ動ける者をかき集めてきた」


 長い階段を上った先で、重く閉ざされた扉が、ゆっくりと音を立てて開かれる。
 雄英高校の校長、根津の姿が現れると、後に続いて教師陣やプロヒーローたちが、施設内へ雪崩れ込んだ。


「1-Aクラス委員長、飯田天哉!! ただいま戻りました!!」


 響き渡る力強い声。
 施設から雄英まで、長く果てしない道のりを懸命に走り抜けた飯田が、凛とした面持ちで立っていた。
 沈みかけた船が再び帆を上げるかのように、希望が生徒たちの胸に芽吹く。

 蛙水と峰田は、麗日の個性を頼り、相澤を慎重に運搬し始める。
 その間に緑谷はオールマイトのもとへ駆けていった。
 それぞれが己の判断で動き出していた。
 血に染まった相澤の姿が、教師たちの手によって施設の外へ運ばれていく。
 その光景が奇妙なほどゆっくりと映った。


「……結ちゃん」


 不意に背後から呼びかけられ、結ははっと我に返る。
 振り返った先には、プレゼント・マイク――山田ひざしが立っていた。
 彼の瞳には、優しさと悲しみが混ざり合っていた。


/ 173ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp