第5章 戦闘訓練
「服装、とか……」
相澤と共に案を練り、機能性を最優先に無駄を削ぎ落とした戦闘服。
それは、戦場に立つ相澤の姿をなぞるような意図が込められていた。
そんな思いを口にするにはまだ早く、まずは気持ちからと選んだ形は、誰よりも彼に見てもらいたかったものだった。
「あぁ、コスチュームも似合ってたよ。ただ、もう少し飾りがあってもよかったと思うが」
「私はあのシンプルさが好きだなぁ……消太さんもそうでしょ?」
「邪魔にならんしな」
気取らず真っ直ぐに向けられた肯定は、今日という一日の終わりの褒美のようで、心を穏やかに満たしていく。
すると、相澤はふと視線を逸らし、わずかに身を引いた。
「……はい、さようなら。気をつけて帰れよ」
遠くに人影が現れたのだろう。
相澤の声は教師口調に戻り、触れていた手がそっと離れる。
その動きは自然だが、ほんの少しだけ名残惜しさを含んでいた。
結の唇がふわりとほころび、温もりの余韻を残したまま、教室へと歩き出す相澤の背中を目で追った。
そして、夕暮れに染まる廊下を結も歩き出した。
赤く揺れる影が足元を追い、放課後の校舎はゆっくりと夜の色へと近づいていった。