第6章 波乱の一日
「それじゃあ、またね!」
明るく声をかけ、二人は校舎の中へと消えていった。
その背中を目で追いながら、結は肩の力を抜く。
胸の奥に溜まっていた緊張がほどけ、深く息を吸い込んだ。
教室にたどり着くと、先程の騒動が嘘のようにいつもの日常が戻っていた。
ホームルームが始まり、相澤が教壇に立つと、昨日の戦闘訓練について言及した。
緑谷と爆豪の名が挙がり、二人の間に一瞬の緊張が走るが、相澤は静かに処理し、本題へと話を切り替えた。
「急で悪いが、今日は君らに学級委員長を決めてもらう」
「学校っぽいの来たー!!」
待ちに待った学生らしいイベントに、生徒たちの明るい歓声が湧き上がる。
自ら手を挙げて立候補する者、冗談交じりに指名し合う者。
活気に満ちた中、飯田の提案によって委員長は公平に投票で選ばれることが決まった。
やがて集計が終わり、黒板には名前と票数が書き出される。
自己投票もちらほら見られたが、最終的に票を集めたのは緑谷出久と八百万百だった。
緑谷が学級委員長に、八百万が副委員長に選ばれると、誰も異論を唱えることはなかった。