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お友達から始めよう【ヒロアカ】

第5章 戦闘訓練


 戦いの幕が上がると開始早々、爆豪が仕掛けた。
 轟音とともに爆風が吹き荒れ、ビルの窓ガラスが震える。
 しかし、緑谷はその一撃を紙一重で回避した。
 反撃の間合いへ踏み込み、爆豪の体勢を崩して投げ倒した。
 一方、麗日は素早く建物内部を移動し、核兵器というもうひとつの勝利条件を狙っていた。
 爆発音が鳴るたび、モニタールームにいる生徒たちは息を呑む。
 緑谷の体は限界に近づいていた。
 それでも立ち向かい続ける姿勢が、見ている者の胸を熱くさせた。


「……負けた方がほぼ無傷で、勝った方が倒れてら」
「根性に負けて、試合に勝ったというところか」


 最終的に、勝利したのはヒーロー側だった。
 麗日が核兵器を確保し、勝利条件を満たしたのだ。
 だが、個性を酷使しすぎた彼女は吐き戻すほど体力を消耗していた。
 爆豪は無傷に近いまま立ち尽くし、緑谷は深い傷を負って倒れている。
 勝利とは何か、そんな問いが生徒たちの胸に沈んでいった。

 一戦目が終わると講評の時間となり、オールマイトの明快な助言が響く。
 各ペアは戦闘中の動きを振り返り、短いながらも濃い時間が流れた。
 そして第二戦、第三戦へ。
 ときにヒーローが勝ち、ときに敵側が鮮やかに勝ち、勝敗は誰にも予測できないまま、訓練は進んでいった。


「――次の対戦相手は、Hコンビがヒーロー! Jコンビが敵だ! 敵チームは先に入ってセッティングを!」


 オールマイトの朗々とした声が室内に響く。
 呼ばれた瞬間、切島と瀬呂が力強く動き出した。


「よっしゃ、行くぞ!」
「おうよ!」


 拳を軽くぶつけ合い、二人は地上へ走り去っていく。
 その背を見送りながら、結と常闇も無言でモニタールームを後にした。
 言葉は少なくとも確かな信頼があった。


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