第5章 戦闘訓練
「コスチューム、洒落てるな! 似合ってるぜ!」
「切島くんもすごく似合ってるよ。肌が出てるのは……個性に合わせて作ったから?」
「そうそう! 俺の個性は硬化つってさ、近接戦闘が得意だからよ。服着てっとすぐボロボロになっちまうんだよな」
誇らしげに差し出された片腕は、瞬く間に岩のような質感へと変わった。
変化した肌は力強く、目に映るだけで頼もしさが伝わる。
「減るもんじゃねぇし、触っていいぜ」
「あ、ありがとう。ほんとに硬いね、岩みたい……」
「だろ?」
結は一瞬ためらったが、差し出された腕へ指先を添えた。軽く触れただけでも、その硬さは明らかだった。
二人のやり取りを眺めていたオールマイトは、腰に手を当てて「青春だねぇ」と笑う。
懐かしさと温かさを含んだ声音だった。
やがて、他の生徒たちも集合場所へと姿を現す。
それぞれが個性に合わせたコスチュームに身を包み、普段とは異なる空気をまとっている。
胸の内に高鳴りを秘めながら、これから始まる特別訓練の気配に息を整えていた。
「さあ、始めようか、有精卵共! 戦闘訓練のお時間だ!!」
オールマイトの声が空を震わせる。
教室で聞いた時よりも強く、揺るぎない響きだった。
生徒たちは一斉に姿勢を正し、その表情には不安と覚悟、かすかな昂りが交じる。
結もまた、大きく息を吸い込み、胸の奥で覚悟を据えた。