第5章 積み重ねる思い
「エヴィバディヘンズアップ! おら盛り上がれー!!」
この日、初めてのチャイムが校内に鳴り響く。
相澤が手短にホームルームを行うと午前最初の授業、必修科目である英語が始まった。
この教科はプロヒーロー、プレゼント・マイクの担当だ。
彼の一番の特徴である大声を教室中に響かせながら授業を進行していく。
二時間目から四時間目の必修科目も終えた頃には涼しかった風も暖かくなり、太陽も真上に昇っていた。
次の授業までの間は昼休みの時間だ。
結は座り続けて硬くなった体を解すように、ぐいっとその場で伸びをした。
約一時間の間に昼食を済まさなければならない。
雄英高校では和食から洋食まで、毎日豪華で種類のある学食が用意されている。
食べたいと思ったものは大体揃っているのが魅力の一つだ。
今日は何にしようか悩んでいると、人気の減った教室のガラス越しに金髪を勢いよく逆立たせている後ろ姿が見えた。
一時間目の授業以来に見かけた人物だ。
結は瞬時に廊下に飛び出す。
珈琲缶を片手に歩いているプレゼント・マイクの後を追った。
「マイク先生」
「ンー? って、ワァオ! 結ちゃんじゃねーか!」
「な、名前で呼ばないでください」
「おっと、そうだったァ! Sorry、千歳ガール! 走ってオレに会いに来てくれただなんて嬉しいなァ! あとでイレイザーに自慢してやろっ」
「近い……」