第5章 戦闘訓練
「お、千歳少女が一番乗りだ!」
集合場所へ最初に姿を見せたのは結だった。
グラウンドに立っているのはオールマイトだけ。
結は姿勢を正し、軽く会釈してから周囲に気配がないことをそっと確かめた。
「オールマイト、あの、相澤先生って……」
「相澤くんは急用ができてね。今日の授業は参加できないそうだ」
「そう、ですか」
「何かあったのかい?」
「いえ、大したことじゃないので大丈夫です。ありがとうございます」
思いがけない不在だった。
見てほしかったなと、小さく漏れた言葉をかき消すように、結は視線を落とす。
今身に着けているコスチュームは、相澤と何度も調整を重ねて仕上げたものだった。
白い丸襟のブラウスに、黒のフードカーディガンと、ショートデニム。
膝下のソックスとスニーカーで、隠密と機動性を重んじた装い。
見た目は軽やかでシンプルだが、削ぎ落とされた設計には確かな意図があった。
「千歳!」
胸の影を振り払い「また今度」と息を整えていると、鮮やかな赤のコスチュームを身にまとった切島が勢いよく駆け寄ってきた。
上半身を大きく露出させた装いは、鍛えられた筋肉の線をはっきり浮かび上がらせている。