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お友達から始めよう【ヒロアカ】

第5章 積み重ねる思い


 小鳥のさえずりとやや大きい物音が耳に届き、結は夢の中から意識を覚醒させた。
 重たい瞼を開けて瞬きを繰り返すと、段々とボヤけていた視界がハッキリとした視界を映し出す。

 仕事をする相澤の肩に寄り添う形で眠りについたはずだが、いつの間にかソファーの上で横になっている体。
 顔元にはふかふかとしたタオルが二つ折りに畳まれた状態で置かれている。

 眠る直前まで痺れが続いていた右手は完全にとは言えないが良くなっていた。
 ぎこちないが指をバラバラに動かせる状態に回復している。
 だが、鈍く重たい違和感は消えることはなかった。

 酷く冷え込む季節は過ぎ去ったが、まだ春の半ば。
 寒さ凌ぎに包まっていた毛布が体を捻ると同時に床に落ちた。
 結は右手に向けていた意識を毛布に移して手を伸ばした。


「悪い、起こしたか?」
「ううん、拾ってくれてありがとう。おはよう消太さん」
「おはよう」


 結が掴むよりも先に、いつの間にか近くに立っていた相澤の手によって毛布が体に掛けられた。

 相澤は部屋着ではなく、普段通りの真っ黒な仕事着に着替えていた。
 外はまだ薄暗く、壁に掛けられた時計は明け方を表している。
 起床するには早すぎる時間帯だった。


「まだ寝てていい。授業についていけなくなるぞ」
「いつもより寝たし大丈夫。消太さんこそ、いつも夜遅いけど眠くないの?」
「空いた時間に寝てるからな」
「そっか。消太さんらしいね」
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