• テキストサイズ

お友達から始めよう【ヒロアカ】

第3章 君の味方に



「気にしなくていいのに。でも、ありがとう。緑谷くん」
「……え、あ」


 不意に向けられた結の笑顔に、緑谷の胸が大きく跳ねた。
 一拍の衝撃が全身へ広がり、体がふわりと熱を帯びる。
 鼓動は早まり、思考が追いつかない。
 足元が揺れた気がしたが、なんとか踏みとどまった。

 ――これも彼女の個性の影響なのか、それとも。
 対して結は落ち着いた様子で「こんなふうに褒められるの、初めてかも」と小さく呟く。
 その一言で、緑谷の思考はまた揺さぶられた。


「あれ……どうしたの?」
「えっと、千歳さんが微笑んだ時、急に暑くなって……これも個性の影響、なのかな?」


 ぱちり、と結のまつげが揺れた。
 二度瞬く仕草が、心当たりのなさを物語る。
 右手に目を落とし、次いで緑谷の手元へ視線を移すと、結の表情がすっと青ざめた。


「……私にも、分からない。先生のところに急ごう」
「う、うん!」


 結が歩き出すと、緑谷も慌てて背を追った。
 先ほどの熱とざわつきはいつの間にか落ち着き、緑谷の心に違和感だけを残していた。


/ 173ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp