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お友達から始めよう【ヒロアカ】

第3章 君の味方に


 一気に距離を詰めた結に対し、緑谷は反射的に自分の顔を手で隠した。
 そんな様子に結は「そこまで驚かなくても」と平然と呟いたが、緑谷の喉からはか細い声しか絞り出されなかった。


「そういえば。さっき相澤先生のヒーロー名を当ててたけど、すごいね、緑谷くん。名前だけ知ってる人はいたけど、姿を見ただけで分かるなんて。ヒーローに詳しいの?」
「うん……! ヒーローの情報は毎日欠かさずチェックしてて、イレイザーヘッドの活躍記事も何度か読んだことがあるんだ」


 緑谷が「活躍記事」と言った途端、結は思い当たる節があったようで、肩をびくりと揺らして言葉を失った。
 不自然に会話が途切れ、沈黙が続く。
 その間に適切な言葉を考えるが、すぐには見つからなかった。

 感づかれる前に、結は気を取り直して「そうだ、私の個性当ててみて」と話題を戻した。
 緑谷は驚きながらも、謎めいた個性について考え始めた。


「千歳さんの個性は……複数の力を使えるコピー系、かな?」


 緑谷の表情は真剣で、瞳は考察に没頭していた。
 個性についての考えが流れ出す中、結は興味深そうに緑谷を見つめた。


「どうしてそう思ったの?」
「実は、一種目目からずっと気になっていたんだ。早く走れて、ボールを遠くまで飛ばせる。握力の記録も桁外れだって耳にしたけど、さっき握手したときは力がまるで込められてなかった。つまり常に力があるってわけじゃない。千歳さんはどの競技でも上位の結果を残していたし、強化系の個性となると、飯田くんの個性に似せて50メートルを走り終えたことが引っかかるんだよな……」
「……うん?」


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