第15章 弱さに宿る力
「おめでとう、千歳少女! 少年たちに恐れず、よく立ち向かった! 最後の爆豪少年との戦いも実に惜しかった。個性やその使い方といい、君にはまだまだ伸び代がある。次も期待しているよ」
「……ありがとうございます、オールマイト」
「んん? あんまり喜んでいないみたいかな?」
太陽の光を浴びて、銅色のメダルが結の首元で輝きを放つ。
だが、その光は結には眩しすぎた。
微かな陰りに気づいたオールマイトは、健闘を讃える笑みのまま不思議そうに首を傾げる。
大柄な体格とは裏腹に、柔らかな眼差しが顔を覗き込んだ。
「本当なら飯田くんがここにいるべきなのに、私が立っていいのか――わっ」
「そんなことはないよ。飯田少年も確かに強いが、君も可能性を持っている。だからこそ、ここに立っているのさ」
力強い言葉が結の心を解きほぐしていく。
大きな手が背中を軽く叩くと、大柄な身体に似つかわしくない穏やかな温もりが深く沁みた。
「暗い顔は似合わないぞ! 最後は笑顔で終わろう!」
両手の指で頬を押さえながら笑顔を作るオールマイトの姿に、結は驚きながらも肩の力を抜いた。
その顔を見て満足そうに頷いたオールマイトは、背を向けて歩き出した。
堂々とした姿には確かに揺るぎない力と包容力が宿っている。
太陽の光を背負った彼の影が長く伸び、結の前を通り過ぎていった。