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お友達から始めよう【ヒロアカ】

第16章 手放せない熱



「そこの君! やっぱり……! 昨日の雄英体育祭に出ていた子だろう!?」
「え、わ、私……?」


 最後の一口を食べ終えた、そのとき。
 不意に投げかけられた声に、結の肩がびくりと跳ねる。
 背後からアイス屋の老人が、興奮を隠しきれない様子で駆け寄ってきたのだ。
 その瞳は、少年のような好奇心に満ちていた。


「君の戦い、家族と一緒に見ていたよ! 惜しかったが、あんなに頑張って戦ってたんだ! 一位みたいなもんだよ! 来年も頑張れい!」
「私も応援してるわ! これからも頑張ってねぇ!」
「あ、ありがとうございます」


 応援は次々と重なり、周囲へ広がっていく。
 誰かが足を止め、それにつられて別の誰かが振り返り、やがて小さな人の輪を作った。
 有名人がいる――そんな空気が漂い始めていた。


「雄英? マジか、本物じゃん! 記念に写真――」
「おい、それ向けンな。燃やされてェのか?」


 嬉しげに声を上げた青年に向けて、男の手が伸びる。
 次の瞬間、写真を撮ろうとした端末を乱暴に掴み取った。
 鋭い動きに、相手の表情が強張る。
 男の声には冗談めいた響きが一切なく、本気で制していることは明らかだった。


「ちょっと……!? ご、ごめんなさい! なんでもないです!」


 結は咄嗟に彼の手を掴み、個性を発動させた。
 力を失った感覚に、男の喉から舌打ちが落ちる。
 アイス屋の老人がまだ何かを伝えようとしていたが、結は振り切るように駆け出す。
 男も何も言わずに歩調を合わせていた。


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