• テキストサイズ

お友達から始めよう【ヒロアカ】

第16章 手放せない熱



「もういいだろ。ここまで追ってこねェよ」
「はあっ……君が、あんなこと、言うから……っ」


 しばらく走り続け、狭い路地に入ると二人は足を止めた。
 膝に手をつき、乱れた呼吸を必死に整えながら、ずるずると壁に背を預けてしゃがみ込む。
 結は淡々と話す男を睨み上げたが、男はマスクをずらし、落ち着いた仕草で酸素を肺に送り込んでいた。


「目立つために体育祭なんか出たのか?」
「そんな、わけない……目立とうとしたのは、君の方……っ」
「カメラ向ける方が悪ィだろ」


 男が隣に腰を下ろす。
 距離は近いが、体温が触れ合うほどではない。
 膝に肘を立て、手のひらで頬を支えたまま、結の顔を覗き込んでいる。
 やがて男の口元が歪み、笑みが浮かぶ。
 その表情は、面白い玩具を見つけた子どもに似ていた。


「それに、撮られて困ンのはお前だぜ?」
「私……?」
「ヒーロー志望が、“敵”と仲良くしてるって世間に知られてみろよ。ははっ、教師もヒーローも混乱して、面白ェことになるだろうな」


 乾いた笑いが空気に溶けていく。
 結は喉の奥がひりつくのを感じながら、視線を伏せた。
 彼が“敵”であることは、最初から分かっていた。
 偶然知った事実でも、裏切りでもない。
 それでも、結は連絡を断たず、距離を置くこともしなかった。


/ 170ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp