第15章 弱さに宿る力
「随分と無茶をしたねぇ。最後のは見ていたこっちがヒヤヒヤしたよ」
結が次に目を覚ました時、視界に広がったのは真っ白な天井と清潔感のある部屋の中だった。
身体を覆うベッドの柔らかな感触が医療用のベッドに横たわっていることを教えていた。
傍にはリカバリーガールが器用に右手へ包帯を巻き付けている最中だった。
その手元を見ると、薄い擦り傷がうっすらと残るだけで爆破による傷跡はすでに癒されていた。
だが、包帯と破れた体操服の袖が戦いの激しさを如実に物語っている。
「はぁ……こうならないようにって決めてたのに、また抑えられなかった……」
「こればかりは仕方ないことだね。個性も、感情の制御も、ゆっくり慣れていけばいいさ」
リカバリーガールの声は柔らかかった。
それでも、慰めの言葉は胸の奥まで届くことはなく、結は無意識に息を吐き出した。
「少しの痺れは覚悟してたけど、最後に爆豪くんがあんなこと言うから……私だって――」
「はい、治療終わったよ。話の続きはこの子から直接聞きな」
「続きも何も、話……は…………」
不意に違和感を覚える。
この子とは誰のことなのだろうかと、リカバリーガールが視線を向ける先へ恐る恐る顔を向けた。
尖った髪型と鋭い視線。
気を失う前の最後の記憶の中にいた人物が、無言で壁にもたれかかって立っていた。