第15章 弱さに宿る力
「ンなことしなくても守るわ。つか、さっきからずっと喋ってんな」
「気が緩んでるのかも。荒々しくない爆豪くん、話しやすいから」
「あ、そ」
爆豪の目がわずかに細められ、言葉を飲み込んだ。
結の本心に触れるたび、胸に残る感情。
馴染みのない、正体の掴めない感覚に、爆豪は居心地の悪さを覚えていた。
「おや、話終わったかい? そろそろ決勝戦が始まるみたいだよ。最後の試合、頑張ってきな」
「頑張ってね、爆豪くん」
部屋の扉が軽くノックされ、リカバリーガールが顔を覗かせる。
無言で部屋を後にした爆豪を見送ると、結はそっと目を閉じた。
いつの間にか感じていた眠気が押し寄せ、リカバリーガールの声を子守唄代わりに、まどろみの中で眠りに落ちていった。
数分後、競技場では爆豪と轟による決勝戦が進んでいた。
緑谷との戦い以来、どこか不調の轟。
全力を出さない相手など許せない感情が、爆豪の勢いをさらに強めていた。
砂埃が舞う中、轟は左の炎で迎え撃とうとするが、攻撃は途中で止まり、直撃した。
煙が晴れると、白線の外側にそびえる氷壁が目に映る。
轟は寄りかかるようにそこに倒れ、意識を失っていた。
爆豪の苛立ちは収まらず、倒れた轟の胸ぐらを掴むが、ミッドナイトの個性“眠り香”によって意識を落とした。
宣誓通り、爆豪は優勝を手にしたが、静かな寝顔を晒す二人がその場に残った。