第15章 弱さに宿る力
絞り出すように呟いた結の声は驚くほど小さく弱々しい声だった。
爆豪は眉をひそめ、不機嫌そうに歩み寄る。
バランスを崩した結の右手が地面に触れると、ぱきん、と硬質な音が響いた。
その瞬間、爆豪は反射的に個性で宙に浮き、距離を取った。
『なっ……フィールドが崩れた!? 爆豪、持ち前の反射神経で避けてたが、ありゃ当たってたらマズかったんじゃ……ッ』
マイクの実況が会場中に響き渡る。
しかし、結の耳にはその声がもう届いていなかった。
競技場全体にヒビが走り、地面に刻まれた無数の裂け目が蜘蛛の巣状に広がっていく。
「使えんじゃねぇか、強ェ個性」
爆豪は嘲るような口調で地面に着地したが、その視線は冷静に周囲を見回していた。
念力の個性で浮かび上がったセメントの破片が、無数の凶器となって爆豪に狙いを定める。
『緑谷と轟ん時の比じゃねえ……! おいッ、これでもまだ戦えって言うのかよイレイザー!?』
マイクの焦った声が会場に響き渡り、観客席にはこれから起こる戦いに対して不安が広がっていた。
競技場の端で控えていたセメントスやミッドナイトが個性を発動する準備を始める。
そんな状況でも、爆豪は煽るように両手を広げ、掌で小さな爆発を繰り返していた。