• テキストサイズ

お友達から始めよう【ヒロアカ】

第15章 弱さに宿る力



「使えんじゃねぇか、強ェ個性」


 爆豪は着地しつつ、周囲を見渡す。
 念力で浮かぶ破片が無数の凶器となり、彼に狙いを定めていた。


『緑谷と轟ん時の比じゃねえ……! おいッ、これでもまだ戦えって言うのかよ、イレイザー!?』


 競技場の端では、セメントスやミッドナイトが二人の動きを止めるために、個性を発動する準備を始めていた。
 そんな様子に気もとめず、爆豪は両手で小さな爆発を繰り返し挑発する。


「かかってこいや、全部ぶっ壊してやる」


 宙を漂う破片が不規則に揺れる。
 結の視線は焦点を失い、軋むように痛む右手に意識をとられていた。
 そんな中、ぼんやりと瞳に映ったのは観客席ではなく、実況席で見守る相澤の姿だった。

 ――そうだ、私、本気で戦っても無駄なのに。
 爆豪に乗せられた……使わなきゃって、思わされた。


「がんばっても……意味……ないのに……」
「あ?」


 意識が次第に空っぽになる。
 爆豪の声が届く前に、結の身体はふらりと崩れ落ちた。
 糸の切れた操り人形のように倒れ込むと同時に、空中の破片が重力に従い、一斉に落下する。
 爆豪は動揺を浮かべ、納得いかない様子で結の元へ歩み寄った。
 肩を掴んで揺さぶるが、微動だにしない。


「……千歳さん、行動不能! 爆豪くんの勝利!」
『い、色々あったが……決勝戦は轟、対、爆豪に決定だ!』


 実況の声も落ち着きを欠いていた。
 競技場修復後に決勝戦を開始すると告げる間、結は担架に乗せられ、リカバリーガールの元へ運ばれた。
 爆豪は最後まで結の心情を理解できず、遠ざかる担架を黙って見つめていた。
 二度目になる胸の違和感は消えることはなかった。


/ 170ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp